「借りた土地に家を建てる」という“第三の選択肢”

 ただ、「いい家で暮らしたいから持ち家が欲しいけど、地方に住みたい。そうするとやはり資産価値が心配だ」と感じる人も多いのではないでしょうか。

 そんな人たちにお薦めしたいのが、「借りた土地に家を建てる」という“第三の選択肢”です。通常、家を買うときは、土地を自分で所有する権利(所有権)を買っています。一方“第三の選択肢”は、地主から土地を借りる権利(借地権)を購入し、その場所に自分の家を建てます。土地は所有しないけれども建物は所有するというイメージです。

 メリットは主に3つあります。まず、土地を所有しないので、土地の値段が下がるリスクを軽減できます。人口の急減が危ぶまれる地方においても、低リスクで自分の家を手にすることができるのです。そもそも借地は所有の約6~7割の金額で済むということも見逃せません。

 節税面でもメリットがあります。土地部分にかかる固定資産税を支払うのは所有者である地主なので、土地を借りる借地権者が納めるのは建物に対する固定資産税のみ。家計の負担が大きく軽減されます。

 3つ目のメリットは、暮らしの質が高くなること。すでに述べたように、一般的に住宅設備のグレードは賃貸よりも持ち家が上です。自分で注文住宅を建てる“第三の選択肢”であれば、持ち家と同じ利用価値を享受することができます。優れた断熱性能を備えれば冬は暖かく夏は涼しい家になりますし、床のフローリングをプラスチック材ではなく無垢材にすれば触れ心地も見た目も高級感がアップします。食洗器をつければ、家事負担を大幅に軽減できるでしょう。

 借地は地主側にとっても、「土地をキープしながら有効活用できる」という大きなメリットがあります。先祖から受け継いだ土地を自分の代で手放したくないと考える地主さんは、特に地方であればあるほど多いのです。立地や敷地条件が驚くほど良い土地が借地権の条件でマーケットに出ることが多いのは、こうした事情が背景です。地域に若者を呼び戻すためにも、積極的に借地を活用することが大切です。