一方で、いわゆる限界集落と呼ばれるような地方では過疎化と高齢化がますます進行していきます。自分の住むエリアに資産性があるかどうかを見極めたいときは、そのエリアを拠点とする地方銀行の業績を確認してみてください。赤字に転落しているようであれば、危険信号です。その地域における金融セクターが縮小しているということは、人口が減少し、地域経済全体が先細りしているということ。その場所で持ち家という固定資産を保有するのはリスクが高いと考えられます。

地方でも「利用価値」重視なら持ち家もアリ

 では、地方に住む人は家を買ってはいけないのでしょうか。

 ここで、「持ち家VS賃貸」の第二の判断ポイントです。それは、「資産価値か、利用価値か」。資産価値は「財産としていくらで売れるか」、利用価値は「住み心地」だと考えるとわかりやすいでしょう。

 一般的には、賃貸より持ち家のほうが住宅設備のグレードが高いです。持ち家の場合、住宅設備の資産価値は減価償却のように年を経るごとに減少していくデメリットはありますが、暮らしの質に投資したいという人は、たとえ資産価値という観点からは値下がりのリスクがあるエリアでも、利用価値を重視して持ち家を検討してもいいと思います。

 コロナ禍を経て、「地方移住」「地方回帰」といった言葉をますます目にするようになりました。リモートワークが浸透した今、自然が身近にある場所に移り住みたいと感じる人は増えています。殺伐とした都会の雰囲気に疲れ、シンプルな生活や地域コミュニティとのつながりを求めて田舎暮らしを望む人もいるでしょう。

 都心では叶えられないような広々とした家に住みたい、近くの公園や家の前の道路で子どもを自由に遊ばせられるような環境が欲しいと考える子育て世代も多いです。
地方に住む人は持ち家を買うべきではない、とは必ずしも言えないのです。