フロントとスタッフ
「2つのムダ」をそぎ落としている

 それは製造業が得意とする「ムダ取り」の手法を、サービス業であるホテル業に導入したという話です。

 山梨県にあるシャトレーゼホテル旅館富士野屋は、もともと老舗の温泉旅館だったところをシャトレーゼホテルに改装したものです。その再生についてシャトレーゼの齊藤寛会長が言うには、ホテル業や旅館業には製造業から見たらムダがあるということです。

 富士野屋について齊藤会長が指摘されたのは、旅館の顔でもあるフロントです。製造業の視点で見ればスペースが広いわりには結構ガラガラだというのです。それで、これは面白い発想だと思うのですが、その一番重要なスペースを玄関ではなくシャトレーゼグループの高級菓子店であるYATSUDOKIの店舗に改装するのです。

 さらに、YATSUDOKIの店舗とレストランの稼働のピーク時間がずれているのもムダがあるといいます。レストランと店舗を隣接させることで、レストランが忙しい時間は店舗のスタッフが手伝えばいいし、その逆もできるというのです。

 これらは製造業発想だといえば製造業発想なのですが、ある意味でサービス業の経営にとってはコロンブスの卵のような指摘です。そしてホテルの再生ですから、製造業的なムダ取りという引き算も大いに収益改善に貢献するはずです。

 さて、全体としては以前の経営よりも良くなったというのがシャトレーゼホテルの評判ですが、口コミの中には厳しい意見も散見されます。それほど厳しくはないものも含めると、シャトレーゼホテルの改善点とおぼしき口コミは大きく分けて3種類あります。