こんなハズじゃなかった…廃屋に100人の相続人「負動産」トラブルを防ぐ2つの対策とは?地方に暮らす両親が残した遺産の中に、思わぬ負担につながる不動産が見つかることがある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「田舎に暮らす父親が亡くなった」――。誰もがいずれは経験する家族との別れだが、大学進学や就職などの機会に都心部に引っ越しをした人の中には、地方に暮らす家族の資産状況や暮らしぶりをあまり把握しないまま相続を迎える人もいる。いざ相続が始まったら、家族が残した不動産が、「負動産」だったというケースも少なくない。そこで、今回は「亡父が残した田舎の負動産」をテーマに、相続時によくある落とし穴を解説する。(税理士、岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

両親が残した不動産が
まさかの「負動産」に

 進学などをきっかけに都心部に引っ越し、そのまま就職・結婚を経て穏やかに暮らしている人は多いだろう。盆や正月にだけ田舎の実家に顔を出す、という方も少なくない。子どもの成長とともに、なかなか田舎に帰れない間に、家族が亡くなってしまうこともある。

 地方に暮らす両親が残した遺産の中に、思わぬ負担につながる不動産が見つかることがある。また、「いつかは処分をしないと」と思っているうちに家族が急に亡くなり、買い手が見つからない空き家や田畑、山の処分に困ることも少なくない。

 また、家族の死去によって相続が開始されると、残された家族が全く把握していない遺産が判明することがある。

 あるケースでは、上京し、都心で家庭を築き生活していたある男性の元に、亡父が既に廃屋として倒壊している空き家の相続人であると、突然役所から通知が届いたのだ。通知には、「空き家を撤去するから、相続人は費用を負担するように」との記載があった。