調べてみると、その空き家は長年放置され、適切な相続手続きもなかったため100人にも上る相続人がおり、空き家の撤去も売却もできない膠着(こうちゃく)状態にあることがわかった。亡父は相続放棄をしていなかったため、今度は残された家族が、相続人として問題に直面することになってしまったのだ。
昨今、こうしたトラブルは全国で発生しており、誰にでも起こり得る身近な問題なのだ。
死後に知った負動産の存在で
相続人が頭を抱える3つの事例
実際に相続の開始後に家族が残した負動産で頭を抱えるケースとは、一体どのようなものだろうか。よくあるケースを3つ紹介する。
(1)売れない空き家や山が見つかった!
介護施設に入居し、そのまま亡くなってしまうようなケースでは、入居前に住んでいた実家が「空き家」として放置されていることがある。思い入れのあった実家でも、地方によっては大変売りにくい場所に位置することもあり、放置状態となることがある。
また、家族の死去後に、実は山や田畑も多く所有していた、という事実を知る人は多い。都会に暮らしている今、田舎の土地をどう処分するべきか、頭を抱える人は少なくない。
(2)相続人間で協議がまとまらない!
複数の不動産があっても、欲しい不動産ばかりではないケースもある。特に売りにくかったり、近い将来リフォームが必要と思われたりするような不動産が多い場合は、相続人間で押し付け合いになり、遺産分割協議がまとまらないことも多い。
(3)相続放棄したいけど、できない!
不要な不動産が多く、相続人に該当している家族全員が「いらない」と思っても、相続放棄はできないこともある。なぜなら、相続放棄をする場合は、残された預貯金や現金などの財産も一緒に放棄する必要があるため、不要な不動産だけを放棄することはできないからだ。