あまり知られていない
「連帯納付義務」

 ここでは、「連帯納付義務」について説明していきましょう。

 日本の税金で連帯納付義務があるのは相続税と贈与税です(法人税でも一定の条件のもとにはありますが、あくまで間接的な連帯納付義務です)。

 あまり知られていませんが、相続税に関しては相続人同士がお互いに連帯して納付する義務を負い、贈与税に関しては贈与者(あげた側)が受贈者(もらった側)に対して連帯納付義務を負っています。税の世界にはあげる側ともらう側を一体と考え、どちらかが払えないならもう片方が責任を負いなさい、という考え方があるからです。

 現在は「申告期限から5年以内に税務署長が督促を行った場合にのみ連帯納付義務が生じる」と改正されましたが、以前は冒頭のケースのように15年も遡って追及されることもありました。

 現在の相続税の課税体系は、財産全体に対して全員で一緒に申告する方法(遺産課税方式)になっていますが、もらった人がもらった分に対してそれぞれ別々に申告する方法(遺産取得課税方式)に変更されない限り、連帯納付義務の廃止は難しいといわれています。