最悪、差押え!?現金納付が困難なら
事前に相続人間で話し合っておくべき

書影『残念な相続〈令和新版〉』(日経プレミアシリーズ)『残念な相続〈令和新版〉』(日経プレミアシリーズ)
内藤 克 著

 そこで、相談者と一緒に税務署に行って折衝したところ、「すでに皆さんの財産調べは終わっていますので、もし話し合いで誰が払うか決まらなかった場合には、税務署の判断で差し押さえをさせていただきます」とのことでした。私の相談者は長女で若い頃お嫁に出たため、本家の財産には一切タッチしていません。したがって、現在の財産は配偶者とともに形成されたものが多いということを力を入れて説明し、事なきを得ました。

 他のきょうだいは「どう払うか」よりも「自分だけはどう差し押さえから逃れるか」で頭がいっぱいだったようでしたが、最終的にはその後きょうだいのどなたかが泣く泣く納付されたようです。

 このように、納税資金の問題はきょうだいのそれぞれが自分だけ解決してもダメで、連帯納付義務がある限り、全員で協力して考えなければいけないのです。