空前の株高に沸く日本。いつまで株高は続くのか。買い増してもよいのか。米金融研究所や米調査会社など最新の国内外のリポートや報道を読み解く。(イトモス研究所所長 小倉健一)
空前の株高
日本株を買い増しても良いのか
空前の株高に浮かれている日本の株式市場だが、先行きは極めて不透明だ。このまま、私たちは浮かれて、株を持ち続けたり、さらには買い増したり、という決断をして大丈夫なのだろうか。日本経済の実態を冷静に指摘するのが、米ニューヨーク・タイムズ紙だ。
〈日本経済は数十年間ほとんど成長しなかったが、現在は不況に陥っている。人口は減少の一途をたどり、昨年の出生数は頭打ちとなった。この国の政治は、スキャンダルにまみれ不人気であろうと、ひとつの政党が政権を事実上掌握し、凍りついたように見える〉(米ニューヨーク・タイムズ紙、2月29日)
〈日本の経済規模はドイツよりわずかに小さくなったが、世界第4位となった。/年率換算では、10月から12月までの国内総生産は0.4%減少した。エコノミストは第4四半期の成長率を1%前後と予想していた。/この数字は日本経済の先行きを曇らせている。企業収益は過去最高を記録し、株式市場は急上昇、失業率は低い。しかし、個人消費と企業投資―経済の2つの重要な指標―は遅れている〉(米ニューヨーク・タイムズ紙、2月15日)
前者の記事は、そんなひどい状況でも日本人は気にしていないから政治は安定しているんだ、という解説に続いていくのだが、政治の体たらく、出生率の低下は中長期的な経済成長にマイナスでしかない。
「株価は日本経済に対する期待の表れと認識しているが、株価と実体経済との大きな乖離(かいり)があり、ぬか喜びはできない。実体経済を向上させて乖離を埋めなければ、株価維持は到底難しい」と、経済同友会の新浪剛史代表幹事は、約34年ぶりに日経平均株価が最高値を更新した2月22日にコメントを発表したが、この指摘は筆者の懸念とも重なる。
では、この株高を支えているのは一体何か。楽観的な見通しを示すのが、イギリスのタイムズ紙「日本株、1980年代ブーム絶頂期の記録を更新」(2月22日)である。