能登半島地震から半月後
銀行にやってきた女の子
今年の元日に能登地方で発生した地震の発生から約1カ月が経過した。そこで生活をしている方々の苦労は、テレビのニュースを見ても想像を絶するところだ。被災地にはさまざまな支援の手が寄せられている。
自衛隊や全国各地の自治体から派遣された隊員・職員が活動する映像を見ると、胸が熱くなる。個人レベルでも、現地に自費で赴き、瓦礫を片付けたり、炊き出しを手伝ったり、支援物資を届けたりといった行動をされる方もいる。
そんな中、1月中旬、私が勤務するみなとみらい支店の窓口に、かわいい女の子がお母さんと来店した。
『じしんでこわれたおうちをなおしてください おともだちにおかしをあげてください こばとようちえん ○○』
スーパーのレジ袋いっぱいに硬貨が入っている。園児が書いた手紙まで入っていて、ほっこりした。
「おじさんたちが、しっかり届けるよ」
保護者が集めたものとわかってはいても、こうした子どもたちの気持ちが詰まった義援金を送ることは、いつもはあまり人様のためになっていない銀行にとっては、めったにない社会貢献だと自虐する。
少したって、ロビー担当のひとりがわざわざ私のデスクまでやってきた。
「目黒課長、今いいですか?あの親子、ほら、小さな女の子を連れている3番窓口の」
この後、このロビー担当・水野さんとのやりとりは思いがけない方向に進むのだが、その顛末は後述したい。
というのは、こんな部下がいたことを思い出したのだ。今から13年前の東日本大震災から約1カ月を過ぎた頃の話だ。