心の底からぐっすりと眠るための「あるアイテム」を紹介しましょう。
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
睡眠の質が爆増する「あるアイテム」
みなさん、毎日ぐっすりと眠れていますか?
睡眠は人間にとって、食事や呼吸のようにとても大切な習慣のひとつです。
睡眠不足になると、誰であってもイライラしますし、記憶力や集中力など、脳のパフォーマンスが低下してしまって、仕事のミスだけでなく重大な事故を引き起こしたり、さまざまな不安を増長させてしまいます。
そんな睡眠の質を高めるための「あるアイテム」について共有したいと思います。
寝ているときも「見る・聞く」は止められない
さて、あなたは眠るとき、どうやって眠りますか?
もちろん、目をつむり、布団やベッドに入り、静かで暗い部屋で眠りに着くでしょう。
人間がぐっすりと眠るためには、リラックスした状態で、光や音などの五感で感じる刺激をオフにする必要があるのです。
しかし、じつは、目をつむって静かで暗い部屋にしていても、あなたの目や耳は寝ている間も情報を拾っています。
誰かの足音や物音で起きたり、朝になって朝日が部屋に入ってくると勝手に目が覚めてしまうはずです。
人間は、たとえ眠っていても、危険に備えるためにつねに光や音などの刺激を情報として、脳は処理し続けているのです。
脳を休ませる「アイマスク・耳栓」
人間の脳は寝ている間も周りの情報を拾っています。
カーテンから漏れる月明かりや誰かがトイレで起きた足音、寝返りで擦れるシーツの音など、さまざまな光や物音によって、とくに敏感な人やストレスが高まり緊張感がましている人では眠りが自然に妨げられてしまいます。
そんな睡眠の質の低下や、途中で起きる中途覚醒を防ぐためには、より一層の「情報遮断」と「脳の休息」が大切になります。
そのためには「アイマスク」や「耳栓」が効果的です。
寝ているときに五感を遮ることで、よりぐっすりと眠ることができます。
イギリスのカーディフ大学らの研究チームによって行われた研究では、睡眠中にアイマスクを着用するだけで、翌日の学習能力や注意力が向上することが示されています。(註1)
研究中では、「アイマスク」を着用することで、ぐっすり眠ったときに生じる徐派睡眠時間が増加することも明らかになっています。
よりぐっすりと眠るため、脳をゆっくりと休ませるため、睡眠という最高の休息中は五感センサーをにぶらせて、ゆっくりと休ませてあげるようにしましょう。
睡眠でもっとも大切なのは「安心感」
また、より深い睡眠を得るためには、リラックスが大切です。
そのためには日中の運動や食生活、ストレスの軽減など、さまざまな方法で「よく眠れる」と脳に思い込ませることが大切です。
先ほど紹介した「アイマスク」「耳栓」もそのうちの一つです。
精神科の外来で睡眠薬を常習していた患者が、耳栓を取り入れてみることでぐっすりと眠れるようになることはよくあります。
とくにこの方法は、ストレスを感じて過敏になっている人、繊細な人でより効果的な方法ですので、よければ今日の夜から試してみてください。
参考文献(註1)Sleep, Volume 46, Issue 3, March 2023, zsac305, https://doi.org/10.1093/sleep/zsac305
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。