リニア中央新幹線をめぐるJR東海と静岡県の協議は、具体的な進捗を見ないまま2024年度に持ち越されようとしている。JR東海は果たしてどんなことを考えているのか、多くの人が漠然と抱いているだろう疑問を、同社にぶつけてみた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
リニア中央新幹線をめぐる
JR東海の「言い分」は?
リニア中央新幹線をめぐるJR東海と静岡県の協議は、具体的な進捗を見ないまま2024年度に持ち越されようとしている。そもそも2007年、JR東海が「リニアを自己資金で建設する」と表明した際の開業予定時期は2025年だった(その後、リーマンショックで2027年に延期)。「あと1年でリニアが開業する!」そんな世界もありえたのだろうか。
さまざまな論点のあるリニア問題は、数回程度の記事で論じられるものではないし、川勝平太静岡県知事、難波喬司静岡市長、大井川流域自治体各首長の主張の是非や真偽の検証も、専門的知見のない筆者には困難だ。大上段の議論については、当事者と国土交通省、有識者会議、専門部会に任せたい。
筆者が考えたいのは、もっと一般の人向けへのコミュニケーションの問題についてだ。「秘密主義」と目されがちなJR東海だが、ウェブサイトで申請・手続き・契約など各種資料や、FAQ(よくある質問)などの情報公開は積極的に行っている。
しかし、どうにも形式ばっており、人々に届く言葉にはなりきれていない。世間の理解・関心が高まり切らないのは、そんなコミュニケーション不足が一因ではないかと思ってしまう。
JR東海は、どんなことを考えているのか。現時点で言えること、言えないことはさまざまだろうが、だからこそ彼らの「言い分」を聞いてみたい。多くの人が漠然と抱いているだろう疑問を、JR東海広報部東京広報室の池田朋史室長にぶつけてみることにした。
なおあらかじめ断っておくと、本稿は同社の回答の真偽を検証するものではなく、是非を論じるものでもない。あくまでも今後の議論の前提となる、同社の公式見解を引き出すことを目的としたインタビューであることに留意されたい。