品川~名古屋間が完成しないと
その先には手がつけられない

――静岡工区の着工が遅れる中、川勝知事は静岡以外も遅れていると主張しています。他の工区は当初(2027年開業)スケジュールに沿って進んでいるのでしょうか。

 どこも厳しいところはあります。計画通りというところもあれば、(計画通りに)いっていないところもあり、工程としては非常にタイトなのは事実です。

――金額ベースでいうと、総工費7兆円に対してどの程度、進んでいるのですか。

 2014年度から2022年度の累計設備投資額は約1兆5000億円です。

――2023年度計画が3400億円ですね。トンネル掘削など土木工事の本格化はこれからとはいえ、まだそのくらいですか。

 工事は一斉に進むのではなく、静岡工区(南アルプストンネル)、品川駅、名古屋駅、都市部シールドトンネルの発信基地となる非常口掘削工事など、時間がかかる工区から早く手を付けなければなりません。しかし、静岡は2017年の工事契約から6年間、工事に着手できていません。

――鉄道はどこか一部でも完成しなければ開業できません。先行するはずだった静岡工区がボトルネックとなっているわけですね。

 スケジュール通りにいくところ、いかないところがあり、早期開業を目指すことに変わりはないのですが、各工区の進捗を確認しながら、全体としてどう進めていくのが適切なのか検討しています。急いでやれば工事費がかさむ部分もありますし、どれが一番リーズナブルかを考える必要があります。

――静岡工区の遅れが他の進捗に影響を与えているため、今となっては当初スケジュールとの単純比較は難しいということですね。そんな静岡工区ですが、2020年に「2027年に開業させるためには今が着工のタイムリミット」と発表したことをふまえれば、今すぐに着工しても開業は2034年以降です。そうであれば、元々2037年開業を予定していた名古屋~新大阪間も同時に建設し、一括開業はできないのですか。

 この際、もう全部いっぺんにやればいいじゃないかという主張もありますが、両方同時というのは人的資源的にも経営資源的にも無理です。工事部隊は完成次第、名古屋~新大阪間に移っていきます。名古屋まで出来ないと、名古屋から先には手をつけられないんです。

――昨年末、名古屋~新大阪間の環境アセスメントに着手したと発表しましたが、これは2027年名古屋開業、2037年新大阪開業の当初スケジュールに沿ったものだったのですか。

 そこはあまり明確にひもづいてはいません。名古屋以西については沿線自治体との間で、どういうステップで工事を進めていくか意見交換をずっとしてきましたし、情報収集もしています。話がまとまってきたところは、もう一歩進めて調査をやっていきましょうか、という話です。

 奈良にしても三重にしても、駅候補地の調査を始めようということでボーリング調査を始めましたが、それでもって名古屋以西の全てのアセスの手続きがどんどん前のめりに進んでいくかというと、分かりません。準備ができたことからいろいろなリサーチをしていくということに尽きると思います。