「友達どうし」が仲良くしているのをみると、許せなくなる。この心理とは?
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「仲良くしている様子」が見れない?
「友達のグループの中で、私以外の人どうしが仲良くしているのをみると、モヤモヤした気持ちになってしまう……」
そんな経験がありませんか?
それは誰しもが経験したことだと思います。
私たち人間は、「自分だけが損をしている」「自分だけが仲間外れにされている」と感じると、つらくなったり、悲しい気持ちになるように作られています。
これは人間だけでなく同じ哺乳類であるサルにも見られる傾向です。
私たちは遺伝子を残すために他の人より損をしないように、それを恐れるように作られているのです。
このように、私たちに初めから備わっている「種を守るための機能」のようなものということがわかると、少し楽になりませんか。
とはいえ、そんな感情に振り回されて、友情にひびがはいるのはあまりよくない。
友人が「あなたの思い通りに動いてくれるはず」「友人はずっと自分だけの味方であるはず」といった期待をしすぎないようにしましょう。
「他人からの好意」が怖い人
その一方で、「他人からの好意が怖い」という人もいます。
たとえば、異性から誘われたときに、その人が性的な感情を自分に向けてくることを意識すると、それだけで吐き気がするほどに気分が悪くなるのです。
他人からの好意を素直に受け取れない人は、異常者なんでしょうか?
そんなことはありませんよね。
「好意」と「性的関心」はまったく別の感情です。
好意はあなたの性格や雰囲気によって生じ、性的関心はあなたの外見によって生じるものです。
性的な関心を寄せられると、「警戒心」や「恐怖心」が刺激されて、不快な気分が生じてしまうのでしょう。
異性に会う機会を減らし、ストレスを少なくするようにあなたの環境を見直す必要があるかもしれません。
そして、もし人から好かれる、愛されるといった感情が怖いと感じるのであれば、少し「孤独感」に慣れすぎているのかもしれません。
先ほどの「嫉妬」とは逆の状態ですね。
人間は現状維持が大好きな生き物です。
どれだけブラックな職場や学校でもとりあえず席を置いていたり、それでも残ろうとするのはそんな現状維持が好きという習性から生じるものです。
人間は孤独を恐れるものですが、そんな生活に慣れすぎると現状を変えてしまうような好意や優しさのような感情でもネガティブに感じてしまうのです。
そのため、他人から向けられる好意そのものが怖い場合には、あなたが少し周りに歩み寄るような姿勢を見せるようになると、好意をもう少し素直に受けられるようになるかと思います。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。