子どもの就職活動に
親はどんなスタンスで接するべきか

 KADOKAWAについておさらいしてきた。拡大する市場。強みを発揮するメディアミックス。収益は好調だ。だが、企業風土にやや不安がある。企業風土が影響するのは経営陣だけではない。組織全体だ。長く勤めれば勤めるほど、立場が上になればなるほど、影響は大きくなっていく。

 ガバナンス検証委員会は、KADOKAWAの企業風土を「形状記憶合金」という強い比喩を用いて批判した。「合金」がどこまで溶けたのか。知人の娘さんには、ぜひ就職活動を通じて感じ取ってほしい。

 就職先について、親に相談するケースが増えている。「doda」の調査によると、親のアドバイスを重視する就活生は、およそ4人に1人いるという(※6)。親からすれば悩ましい。どうアドバイスすればいい? どう接すればいい? 答えは就活生自身に聞いたほうがよさそうだ。

 東洋経済新報社が発行する「就職四季報」の表紙イラストは、毎年、就活を控えた学生が描いている。今年の作風は少し変わった。これまでの「カッコいい」アニメ風から、「優しく柔らかい」絵本風になっている。

 イラストを描いた加藤志門さんは、「私を含め、不安な就活生に寄り添い、元気づけられるようなイラストを目指した」「就活をこれから迎える自分を、優しく『怖くないよ』と待っている、未来の自分をイメージした」という。

 どんな会社に勤めても~失敗しても~応援する。親は余計なことを言わず、不安が軽くなるよう、支えるだけで十分なのかもしれない。

【注】
※1 学情調べ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001143.000013485.html
2025年卒学生対象「就職人気企業ランキング」

※2 えるぼし
https://group.kadokawa.co.jp/ir/esg/social/working_environment.html
「えるぼし認定」は、女性の活躍に関する取り組みの実施状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度。KADOKAWAは、評価項目の基準をすべて満たす「3」を2017年9月に取得している。

※3 リスクモンスター調べ
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/pdf/20230517.pdf#page=7
リスクモンスター 第 11 回「お子さん/お孫さんに勤めてほしい企業」調査

※4
https://aja.gr.jp/download/anime-industry-report-2023_summary_jp
一般社団法人日本動画協会 報告書 アニメ産業レポート2023

※5
※指名委員会等設置会社:過半数が社外取締役で構成される3委員会(指名委員会、監査委員会、報酬委員会)設置により、監査等委員会設置会社(現KADOKAWA)よりも監督機能を強化した会社。社内昇進取締役が上席者に配慮する、などの弊害を軽減できる

※6
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000016455.html
「自身の就活やキャリア観醸成に影響を与えた人や経験・体験」に関する調査