きちんとしていない「専務会」と
誰も反対できない「会長案件」の存在
つまり、「上司の意向に反対しない(反対してもムダ)」そのような企業風土が醸成されていたのではないか。要因は、角川前会長にあるのではないか。
会見で「贈賄事件は、角川会長のワンマン体制により引き起こされたのでは?」と、問われた夏野剛社長は、「KADOKAWAは、1人でコントロールできる企業規模ではない」とし、
「会長が関心を持つ分野も、きちんと会議を通じて意思決定している」
「会長の希望が全て通る、というようなことはない」
と否定した。だが、実態は違った。会見の3カ月後、委員会は、“専務会”という「きちんとしていない」会議と、“会長案件”という「反対できない」案件の存在を明らかにしている。
専務会・会長案件という、いわば「超法規的」ルートの存在が、社内の倫理観を大きく低下させた。角川前会長の大きな存在感が、上席者に過度に忖度(そんたく)する企業風土を生み出した。
「角川氏が役職を辞しても、この風土は形状記憶合金のようにKADOKAWAに今も継続して存在している」(調査報告書公表版 2023年1月23日ガバナンス検証委員会)
調査報告書にはこう記されている。これを受け、KADOKAWAは「専務会」の廃止、指名委員会等設置会社(※5)への移行などの対策を進めている。