「上場会社としては極めて不透明かつ不適切」
トップが逮捕された、KADOKAWAの贈賄事件

「上場会社としては極めて不透明かつ不適切」

 2022年10月、オリンピックの贈賄容疑で角川歴彦前会長が逮捕されたことを受けて開かれた会見で、ガバナンス検証委員会の國廣正弁護士はこのように断じた。

 そもそも、この事件の要諦は、「ある人物に金を渡すと、10億円のスポンサー契約料が5億円に値引きされる」という怪しい契約にある。KADOKAWAの法務部門も、「限りなく黒に近いグレー」「非常に危険」「相当懸念している」と、贈賄にあたる可能性を、強く指摘していた。

 それにもかかわらず契約を締結した。贈賄に見えないよう「仮装」した。その行為を止められない企業風土だった、と検証委員会は糾弾している。では、どのような企業風土だったのか? 調査報告書に以下の記載がある。

「今回直接関係しなかった役職員たちも、長年『会長案件』(後述)を見ていながら、何らアピールも内部通報もしなかった人たちであり、それがKADOKAWAの企業風土」(調査報告書公表版 2023年1月23日ガバナンス検証委員会)