骨粗しょう症になったらどうする?
自分で注射も可能な最新の治療法

 骨粗しょう症は、骨密度を上げることで症状を改善させることができます。治療では、生活習慣の改善と薬物療法が行われます。生活習慣の改善は先に挙げた通り、食生活の改善、適度な運動、日光を浴びることが基本となります。

 薬物療法に使われる治療薬には「骨吸収抑制剤」や「骨形成促進剤」があり、定期的に皮下に注射することで効果を発揮する治療薬も承認されました。病院や診療所で注射をするものと、自身で注射をするものがあります。

「自分で専用の注入器を使って薬剤を注入するものは、針の付け替えが不要な自己注入の製剤もあり、自分で注入するのが怖いという方にも使いやすいように、機械が自動で薬剤を注入してくれる注入器も開発されました」

 しかしながら、骨粗しょう症をしっかりと治療するためには、病院や診療所で行われる投薬による治療だけでなく、適度な運動や日光浴などの複合的なアプローチが必要です。そのためには、医師のアドバイスをしっかりと聞き、治療を根気よく行っていかなければなりません。

「骨粗しょう症が要因で骨折した場合などは、骨折が治って痛みがなくなると治療をやめてしまう方が多くいます。しかし、骨折は治っても骨粗しょう症が改善されなければ、骨折のリスクは残存してしまいます」

 薬剤の注入による治療は、1年必要なものや1年半あるいは2年間注射を要するものもあるとのこと。また、内服による治療も病態によりますが、それよりも長期間内服を要することがあります。

「複合的にアプローチをし、数年かけてしっかりと治療してもらいたいものです」

 現在では、患者に寄り添って助言をする、「骨粗鬆症マネージャー制度」という制度も創設されていて、2023年4月までに3928人のマネージャーが日本骨粗鬆症学会によって認定されています。看護師や理学療法士、薬剤師、診療放射線技師、管理栄養士、作業療法士などによって構成されており、骨粗しょう症の予防や治療を提供し、広く社会啓発活動を行っています。

 毎日の生活習慣を見直して骨粗しょう症を予防し、生涯にわたって強い骨を保つようにしたいものです。

(監修/大下優介 昭和大学横浜市北部病院整形外科准教授)