むしろ、伝わった方が「あれ?あいつ、辞めるって選択肢が出来たのか?」と、本当に必要な人材ならば、仕事の待遇などが良くなる場合もあります。

 だから、早めに人に伝えた方がいいのです。

 そして、いざ、本当に「辞める」という気持ちが固まった時に、この「付箋を貼っておく」ことが効果を発揮します。

 僕もそうでしたが、いざ、辞めることを伝えなければいけない時に、「そういえば前に言ってたよね」と言ってくれる人がとても多かった。

 理解のスピードが速いのです。

自分を俯瞰で見て
「老害」だと気づいた

 だから、「仕事を辞める」と決意してから本格的に伝える前に、思いついたり頭にチラついたりした時点で、「人生は一回しかない」を武器に、飲みの場などで話して付箋を貼ることが大事だと思います。

 この「付箋を貼る」ことをしていた時には、僕の中でもまだ本当に辞めようという覚悟が出来ていなかったのかもしれない。

 2020年、コロナ禍になってしまいました。目の前で起きていることがあまりにも初めてすぎて、辞めるなんて考えを心の中にしまうしかない状況になりました。

 でも、その選択肢は心の中に入ってるわけで、喉に骨が刺さってるような状態が続きました。

 そして、仕事で感情的になることが増えたり、自分の思い描いていた形と違ったものになったことで、人を追い詰めてしまったりしている自分に気づきました。

書影『仕事の辞め方』(幻冬舎)『仕事の辞め方』(幻冬舎)
鈴木おさむ 著

 その時に、思ったんです。これって自分がまさに老害じゃんと。

 自分がまったくおもしろくないなと。

 そこから「俯瞰」です。自分の人生を振り返ってみました。自分の生き方がおもしろくないなと気づいてしまったんです。

 そこで、今度は強く思ったんです。「辞めよう」と。

 心の中にしまっていた「辞める」という思いが、今度はハッキリとした形になって、飛び出てきました。