統計によると、中途採用人材の2年以内での離職率は30%を超えると言われています。自身の成長のため、意気揚々と転職したにもかかわらず、なぜすぐに辞めてしまうのでしょうか? 本稿では、新天地で必須の「アンラーニング」について解説します。
なぜ、転職後すぐの退社が多いのか?
まず、事実を掴んでほしい。統計にもよるが、中途採用人材の2年以内での離職率は30%を超えると言われる(下図)。もっとも多いのが「入社後半年~1年」の退職だ。つまり、せっかく未来を描き、自身の成長を期待し、意気揚々と転職したにもかかわらず、1年を待たずしてそれがふいになってしまうケースが多いのだ。これは個人にとっても企業にとっても不幸なことだろう。
逆に、入社後1年を超えると離職率は下がる傾向がある。そのため、私はこの「半年~1年」を転職後の「死の山」と呼んでいる。
ちなみに、早期離職は意外に、若手よりも、自分に自信を持っているハイキャリアな方に多いのだ。
「鳴り物入り」ほどすぐ辞める
あなたの周りでも、鳴り物入りで入社したにもかかわらず、さほどの成果も出せずに、1年以内で離職してしまった方はいないだろうか。
中堅以上のハイキャリア層は、一定の成功体験やその経験に基づく「持論」を持っていることが多い。過去に成果を出してきたからこそ、相応のポジションに登用されているわけで、自分なりの仕事の進め方やマネジメントスタイルにある程度の自信を持っている。そこが、「落とし穴」となるのだ。
前職では、相応のポジションにいて、周りから引き留められもしただろう。さらに、転職検討時はエージェントからちやほやされていたケースも多い。
人はプライドに引っ張られる生き物だ。だからこそ、思ったほど成果が出せないときに事実を直視しきれず、つい新しい組織のせいに、つまり他責にしてしまう。しかもまだ「転職商材」として価値があるとみられれば、エージェントから、「でしたら他に転職しましょう」と声がかかってしまう構造がある。
このように、中途半端な成功体験やプライドが邪魔して自己変容できない方を、本当に数多く見てきた。その先がどうなるかは、もう想像がつくだろう。
重要なのは、自己変容、アンラーニングができるかどうかだ。若手もシニアも、その点を頭に入れて読み進めてもらいたい。