ここ何年かを振り返っても、AIによって奪われる仕事についての話題は事欠きません。普通に生活していても、たとえば、コールセンターのオペレーターの需要がこれから劇的に高まることは想像できないはずです。

 そうしたときに、電話オペレーターとしてのスペシャリストを目指すのは、技術動向を見誤っていると言わざるを得ません。

書影『嫌な仕事のうまい断り方』(日経BP)『嫌な仕事のうまい断り方』(日経BP)
山本大平 著

 また、いまは仕事があるかもしれませんが、特定のデジタルプラットフォームやシステムのスペシャリストになるのもおすすめできません。スペシャリストになる前に、そのデジタルプラットフォームやシステムが、新しいものに取って代わられている可能性が高いからです。

 AIが人間の仕事を奪っていくのは確実です。そうであるならば、AIによって奪われそうな仕事より、【AIにされたら嫌な仕事】に着目すべきです。AIにされたら嫌な仕事は、人間の仕事として間違いなく残るからです。わかりやすく言うと、AIに土下座されて「嫌」と思わない方はさすがにほとんどいないと思います。極端な例を挙げましたが、“感情の本質に資する仕事”は今後も残るはずです。

 話を元に戻すと、上司が、日本刀や電話オペレーターのような仕事を「君のためになるから」と言わないとも限りません。本当に自分のためになるか、というよりは、取り組むことが徒労に終わらないかを判断するのは、あなた自身です。