ケアマネの報酬設定も低すぎます。だから独立性を保てなくて事業所所属を認めるという欠陥が、最初から制度に組み込まれていました。

 施設に限って言っても、配置基準にもともと無理がある。介護保険の初期は施設志向が高まって法人が内部留保を蓄えたせいで、施設の報酬が切り下げられたけれど、利益を上げたのだって措置時代と変わらない集団処遇をしていたせい。

 ユニットケアが出てきてようやく、お年寄りの尊厳を守る個室が標準になるかと思ったら、あっというまにホテルコストの徴収を始めました。ユニットケアになって建築による制約が多くなったのに人手は増えない。そのうち定員すら10人から15人に増えていた。こんなのユニットケアじゃないですよ。

 いつのまにか多床室もOKに戻って、それすら居住費を徴収しようとしています。介護事業の最大のコストは人件費です。人件費を抑えるには常勤職員を減らしてパートや非常勤を入れるしかない。

 それも離職率が高くて定着しないから派遣で穴埋めしてコストがもっとかかる。ICTで省力化っていうけど、現場の業務を減らすことを意図するのではなくて、はっきり言って省コスト化ですよ。

高口 省コスト化?

上野 うん、マンパワーとお金の両方ともコスト削減したいという意図です。でもそれ以前に、介護保険の初期の条件設定がひどすぎる。

高口 行政は、法定基準を作成し、実地運用を監督する、つまり最低限の基準を作って、指導するのが仕事なんでしょう。そこがあまりにお粗末じゃないの、ということ?

上野 そうですね。