父親は誰が見ても、あかねさんにそっくりだという。

「このときは汚れてしまったことに悩んだよ。もう、人生終わったって。クラスに好きな男の子がいたけど、一緒に帰ったりしていたけど、その日から目を合わせることができなくなって、もう一生自分は恋愛できないカラダになってしまったって。子どもが生まれたらどうしようとか、一日中そのことで頭がいっぱいになってね。悩むのが嫌になって死のうと思っても、そんな勇気なかったし」

 一度だけじゃない。それから父親は週2回、3回と布団に入ってくるようになった。いつも、絶対にアレは勃っていた。深夜にトイレに行くふりをして、あかねさんの部屋に侵入して強姦し、『お母さんに言ったらどうなるかわかるよな?』と言って母親のいる寝室に戻っていった。

「中学卒業して逃げ出すまでずっと続いたから、何回? 100回とか。眠るまでの時間は母親に殴られて、眠ってからは父親に怯え続けていた。日が沈んで夜になると怖くなって眠れない。今日は来ないってホッとして眠ると、やってくる。黒い影が来て、すごく怖くて、虐待は痛いだけだけど、痛いことは慣れるけど、レイプは慣れない。本当にゾッとするくらい嫌で嫌で、夜がくるのがすごく怖くて、生きた心地がしなかった。

 だからソープランドで働いて借金を返すくらい、なんでもないこと。お客が来て、毎日毎日セックスしているけど、ゴムずれでアソコが痛くなったりする程度だし、乱暴な人はいてもちょっと嫌な思いして疲れるくらいだから」

 父親に処女を奪われた日から、あかねさんは自分を人並みではない汚れた女だと思っている。汚れたものはいくら汚しても変わらない、たぶんそういうことだ。

「母親が私を刺して殺そうとしたのは、たぶんそのことが原因。2年間、同じ屋根の下でずっと犯され続けたから気づいたんだろうね。母親には徹底的に虐待されていたし、人間扱いされていなかったけど、心の底では助けてほしかったよ。父親に犯されたとき、お母さん助けてって思ったもん。だけど、お前は死ねって刺されちゃった。お腹がすごく熱くて、痛くて。本当に自分にはなにもないんだってことを理解した」

両親から逃げ
ニューヨークで売春婦に

 母親に刺されたのは、中学3年のときだった。

「このままだと父親と母親に殺されるって本当に怖くなった。高校進学も、女のお前に出す金はないみたいな感じで、受験もさせてもらえなかった。だから、逃げ出すことにしたの」