次のポイントは「相場の変動を気にしない」ということです。投資をしているとついつい相場の変動を気にしてしまいますし、投資をしていくなかでできた投資友だちと、相場が動いた理由を話し合ったり、これからの相場展開を話し合ったりする楽しさを実感することでしょう。

 しかし、相場が大きく動き出すと、ついつい長期的な視点を忘れてしまい、目先の相場の動きに心を揺さぶられて、次第に冷静な判断ができなくなります。これは人間の精神に関することですから、投資経験が長くなれば気にならなくなるというものでもありません。

 私はせっかく投資の世界に足を踏み入れるのであれば、新聞や経済学・統計学などの書籍を読んで、勉強したほうがいいと思っていますが、それはあくまで知識を蓄えましょうということであり、毎日相場を見ながら精神をすり減らすような生活には反対です。自分の知識が積み上がると、仮説とともに将来の予想を立てることができますが、その予想に基づいて投資をするのではなく、あくまで自分の予想を立てる能力を高めるために、あるいは答え合わせをするために相場を見るようにし、投資については機械的に淡々と毎月同じ金額を一定のタイミングで続けるべきでしょう。

知識がない状態で
個別銘柄を買うのはNG

 先程見た日経平均株価やNYダウなどの株価指数は、複数の銘柄で構成されています。たとえば日経平均株価であれば225銘柄、NYダウであれば30銘柄によって構成されています。複数の銘柄で構成されているわけですから、構成銘柄のうち半分が値上がりする一方で、残り半分は値下がりして、結果的に指数自体はそれほど動かないという日が多く見られます。コロナショック以前の2000年から2019年までのデータを見てみると、日経平均株価の毎年の年間騰落率の平均は3.84%の上昇となっています。

 一方で、個別銘柄に目を向けてみると、1年で50%以上も株価が上がっているものもあれば、なかには2倍以上に値上がりしているものもあります。このようなニュースを見てしまうと、ついついインデックスファンドなど買わずに、個別銘柄に投資して一発当ててやろうと思ってしまいそうですが、何も知識がないまま個別銘柄に手を出すのはギャンブルと同じです。1年で50%値上がりする銘柄がある一方で、50%値下がりする銘柄があるのも事実。そして、自分だけは値上がりする銘柄を見抜くことができるなどという都合のいい話はありません。老後資金のために運用しているお金を、うまくいけば儲かるが、失敗したら多額の損失を被るというギャンブルに使ってはいけません。