アイスブレイクの話題に困った時に何気なく聞いてみましょう。

「日経新聞の『私の履歴書』のコラム、ついつい読んじゃうんですよね」

 そこで反応があれば、次からも“共通の話題”として使えます。

 もし反応がなくてもアイスブレイクとして活用できます。一般的に社会人として年齢を重ねていくと、偉人の名言や生き方に学ぶ傾向が強くなります。

 掲載されているコラムの中で象徴的な言葉があれば、それを紹介しつつ、商談相手と結び付けましょう。

「今朝の日経新聞の私の履歴書にあった製薬会社の監査役の言葉に感動しました。治療薬がないまま、結核の患者さんが重篤化して亡くなってしまうのを、なすすべなく見送るしかなかったんだそうです。ところが、抗生剤が開発されて治療が可能ってわかった時に、この会社にしかできないことがあるって感じたそうなんですよ。何かその熱い思いとか、会社を愛する気持ちを読んでたら、不思議と佐藤課長のことを思い出しまして。私、勝手に佐藤課長を重ねながら読んでいました」

 他のアプローチとしては、商談相手の出身地や学生時代にやっていたスポーツ、趣味などを事前に聞いておけば、ネットから『私の履歴書』のバックナンバーの中から、それらと共通している内容を探して、話題にすることもできます。バックナンバーの検索は有料会員に限られますが効果的です。

 私の履歴書に掲載されている方々は、それぞれの分野で偉業を成された方々です。

 その人たちにたとえられたり、重ね合わせて自分のことに興味を示されたら、誰も悪い気はしません。

「今朝の日経新聞の私の履歴書に載っていたんですが、製薬会社の監査役の方が過去に子会社の社長から急に親会社の社長に大抜擢された時、『少し考えてから返事をしたい』と言わずに、その場で引き受けたらしいですね。すごいなぁと思いまして。そういえば、佐藤課長も新潟営業所から首都圏法人営業部に急遽異動の大抜擢を受けたんですよね。そういう時って、ためらいとか戸惑いとかって、なかったのですか?」

 何気ないコラムのように見えて、『私の履歴書』は工夫次第で、実に使い勝手のいいアイスブレイクの話題を提供してくれるのです。