ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

営業を始めたばかりの人は、トップセールスのトークを真似するなど、まず売れている人と同じことをやってみます。しかし、思うように成果が出ないことも。実は、トップセールスの言葉の中には「これを言えば売れる」だけでなく、「これを言ったら売れない」というNGワードがあり、気づかないうちにお客様から嫌われる言葉を発しているのかもしれません。どんな言葉がNGなのか、渡瀬謙『トップセールスが絶対言わない営業の言葉』(日本実業出版社)から、一部を抜粋・編集してお届けします。

沈黙を恐れて「さっそくですが……」で始めない

 お客さまのところへ行ったときに、緊張して何も言えずに困ってしまうことがあります。私もかつてはずっとそうでした。そんなときについ出てしまうセリフが、「さっそくですが、商品のご説明をさせていただきます」というもの。沈黙になるのが恐かったので、すぐに何か話し始めていました。でもそれでは売れません。なぜでしょうか?

仕事の話をするのは当たり前

 新人の頃など、まだ営業の仕事に慣れていないときによくやりがちなことの一つに、いきなり説明を始めてしまうというのがあります。まだ相手との人間関係もできていないときに、営業に行かされても、どうしたらいいのかわかりません。緊張もしています。

営業マン「あの、こんにちは、○○会社の者ですけど......」
お客さま「はい」
営業マン「え~と、その......」
お客さま「……」(イヤな沈黙)
営業マン「さっそくですが、弊社の商品についてご説明させていただきます」

 ついこのように切り出してしまった経験は誰にでもあるでしょう。お客さまが沈黙すると、営業マンは自分から話を切り出さなくてはならないとプレッシャーを感じがちです。しかし何を言えばいいのかわからない。そこで、商品説明に逃げ込んでしまうというわけです。

 もちろん、商品説明が悪いというわけではありません。営業の仕事は、商品を売ることです。そのためには商品説明が必要になります。しかし、会ってすぐというのは、まだ相手も会話をする態勢になっていないものです。聞く気もない人にいくらしゃべっても、効果がないのは明白です。

 よく上司から「仕事の話の前に雑談しろ」などと言われることがありますが、その意味は、相手を聞く態勢にしてから商品説明を始めなさいということです。実際に売れている人をよく観察してみると、必ず何かしらの雑談から入っています。

最初に雑談する意味を知っておこう

 なぜ売れている人は最初に雑談をするのでしょうか。その理由は、沈黙を回避するためではありません。そのあとの仕事の話をスムーズに進めるためです。そこで心がけるべきことは、自分がしゃべるよりも相手にしゃべってもらうこと。相手にしゃべらせることで、営業に対する警戒心を解き会話ができる状態をつくれます。

 ですから盛り上がればどんな話題でもいいというものではなく、その場にふさわしい効果的な雑談をする必要があります。その具体的な内容については次項以降で解説しますが、少なくとも単なる場つなぎではないということを知っておいてください。

 売れている人は例外なく、雑談がうまいのです。