「データ」が家の価値を上げる

「不動産=物理的資産」というイメージを持つ人が多いかと思います。しかし、「不動産=情報資産」とも捉えるべき、というのが私の考えです。

 設計図や詳細図面、耐震性などの様々な性能を評価する構造計算書、さらには木材1本1本のカットの形まで、家を建てるときには大量の「データ」が発生します。完成後のメンテナンスやリフォームといった修繕履歴も立派なデータで、業界では「家歴(かれき)」と呼ばれています。

 こうした住宅にまつわるデータをきっちり保管していると様々なメリットがあり、例えば、住み替えなどで家を売りに出すときには、買い主へのアピールポイントになりますので、高い価値がつきます。逆にデータを紛失していると、たとえ実際には十分な機能を備えていたとしても証明ができないため、中古市場における流通価格が下がってしまうのです。

 特に、確認済証(計画の段階で適法であることを示す書類)・検査済証(実際の工事が適法であることを示す書類)は、紛失しても再発行することができません。

 マンションの場合は管理組合がしっかりデータ管理していますが、一戸建ての場合は自分で管理する必要があります。各種書類を顧客に紙で渡すことがいまだに住宅業界の慣例ですが、デジタルデータはどこかに必ずあるので、もらうようにしてください。デジタルデータは、紛失リスクが低いことに加えて、劣化しないというメリットもあり管理が簡単に行えます。