「寒い家」のせいで年間1万7000人が急死する日本
急激な温度変化が原因で血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことを、「ヒートショック」と呼びます。なかでも、冬に室温の寒暖差が大きい浴室と脱衣所で命を落とす高齢者が後を絶ちません。
2011年のデータによると、1年で1万7000人がヒートショックに関連する入浴中急死をしたと推計されています。2023年の交通事故死亡数は2610人でした。自動車の安全性能向上をはじめとするテクノロジーの進化によって、交通事故は年々減少傾向にあります。最も安心安全であるべき住宅も、テクノロジーを使ってもっと安全性能を高めていくべきではないでしょうか。
鍵となるのが、断熱性能です。日本で冬季の死亡増加率が最も低いのは、最も寒さが厳しいはずの北海道であることがわかっています。北海道の家は断熱性能が高い工法・設備が採用されており、屋内の熱が外に逃げづらく、家中が暖かいからです。
「死なない」だけが高断熱住宅のメリットではありません。高断熱の家は、何といっても、抜群に快適なのです。セントラルヒーティングが普及しているヨーロッパ北部では、極寒の冬も室内では半袖のTシャツ1枚で過ごすのが普通です。お風呂が寒い、廊下がひんやりする、朝布団から出たくない……最もくつろげるはずの自宅で寒さを感じるというのは、考えている以上に辛いことです。性能の高いヒートテックを着るように、断熱性能の高い家を選びましょう。
今、脱炭素社会を目指す国の後押しをうけて、省エネ効果も高い北海道型の住宅が徐々に南下し、日本全国に広まりつつあります。高断熱住宅を強みにするハウスメーカーも業績を大きく伸ばしています。幸せに長生きするためには高断熱はマストである――これが、住宅業界の新しい常識です。