しかし、人によって持っているカップのサイズは異なるため、カップが大きい人は、たくさんのアレルゲンに曝されても持ちこたえることができるのです。

 こういった感受性は、先天的にも後天的にも高くなることがあります。

 たとえば、花粉症の場合、もともとなりやすい人とそうでない人がいるだけでなく、どこに住んでいるのか、どのくらいの期間、花粉に曝露されたのかなどでも、感受性は変わるのです。

 不安感受性に関しては、もともと怖がりだった人が、怖くなる対象をすべて遠ざけていたら、ちょっとした刺激にも「怖い!」という反応が出るようになります。

 心の病気も、その人が持っている特性とその後の対処が影響しているのです。

不安のメカニズムが
過剰に働きだすきっかけ

 それまで正常に働いていた不安のメカニズムが過剰に働きだすきっかけとして、ライフイベントやライフステージの変化が考えられる人もいることでしょう。どのようなイベントがあるのかを順番に見ていきましょう。

 進学や就職、結婚や出産、引っ越しなどのライフイベントによって日常の環境が大きく変化するときは、不安になるのも当然です。メディアはこれを「○○クライシス」だとか「○○の危機」などと名付け、社会問題として取り上げようとしますが、昔と比べると人生は多様化しています。同年代の人が同じ時期に同じような経験をすることも減りました。誰と生活するのか、何にエネルギーを向けているのかも人それぞれです。みなさんも人生の難所を自分なりのやり方で乗り越えられてきたはずです。

 実際は、このようなイベントの真っただ中では、不安にひたる暇もありません。

 不安になりやすいのは、むしろこういったイベントが一段落して、考える時間ができたときでしょう。

 一方で、体の変化については、昔も今も同じ悩みを抱えています。

 40代になると加齢による体の変化を感じるようになり、女性は更年期を迎えます。若い人と同じように行動するのが難しくなり、これまでできていたことができなくなったりします。

 さらに、子どもが独立し、定年が見えてくると、世間でいわれる老後資金問題など自身の老後不安に加えて、親の介護・看取りなども始まります。おとろえた親が自分を頼ってきたり、同世代の人の葬式に出たりすると、自分の人生とも重ね合わせます。