いなば食品が取り組むべき
「危機管理」のポイント
(1)危機管理は、感知、解析、解毒、再生の4つの段階を考える。
(2)処方箋としては、折れる、防御のために戦う、防ぐ、かわすの4つがある。
(3)問題解決のためには、聞く、お願いする、要望する、通告する、措置するという5つの段階が必要。
この理論を「いなば」のケースにあてはめると、基本的なところでは、感知も解析も解毒も再生も、何もできていません。折れる、戦う、防ぐ、かわすといった処方箋についても、十分対応できていません。ボロ社宅の釈明をしたことが「かわす」つもりだったのでしょうが、対応が後手後手だったため、効果はありませんでした。そして、聞く、お願いする、要望する、通告する、措置するといった問題解決も行われているようには見えません。これだけ何もしていなければ、早晩世間の不満は爆発するでしょう。
では、危機管理の柱となる「4つの段階」について、同社はどうすべきでしょうか。
まず「感知」するためにどうしたらいいのか。それは、入社を辞退をした新入社員たちの話をきちんと経営陣が聞き取り、どんな問題を感じていたのか、会社として何がいけなかったのかという状況を、客観的に、正確に把握することです。
次に「解析」です。どうして募集要項と入社後の諸々の条件が変わったのか、社内調査をして新入社員に公開する必要があります。その上で、まずは入社を辞退した新入社員や保護者に対してお詫び行脚が必要です。それは心からのお詫びが必要であり、当人たちが望むのであれば、復職と社宅の改善も約束するものでなければなりません。
入社を4月に辞退したということは、次の仕事に就くまでに相応の時間がかかります。希望してもすぐにいなばへの復職がかなわないなら、その期間の金銭的保証をするくらいの条件提示をしない限り、辞退者は納得しないでしょう。『週刊文春』も、いなばに労働者との契約違反があったとして、提訴や抗議活動などの支援をする可能性があります。
ちなみに、一部メディアでは「社長が辞退者のもとを直々に訪れて謝罪行脚をする」との報道もあります。真偽はわかりませんが、本当なら望ましい状況です。