「途中で逃げた」と罵られ
小ラーメンのはずだが、一般的なラーメンの特盛に相当する量の麺が入っている。ニンニク、豚肉の塊(かたまり)も尋常ではない。
何度か箸が止まり、恐ろしい時間をかけて、やっとの思いで食べきったものの、食後は胃袋がずっしり重い。思考力がなくなり、1日まったく仕事にならない。夜になってもお腹が空くことはなかった。
毎日食べろと言われたが、さすがに連日というのは人権問題ではないかと考えて、2日目以降、毎日食べるのは断念した。早期に戦線離脱をしてしまったわけだが、一緒に取材をしたライターさんは、1週間、最後まで毎日食べ続けた。
原稿にも「途中で逃げた編集のO氏」と繰り返し書かれ、しばらく罵られたが、あの量を1週間食べ続けたら、人格そのものが変わってしまうのではないかという恐怖があったのだ。
当時の取材ノートと記事が掲載されたPRESIDENT(2010年6月14日号)を読み返すと、経営学者の牧田幸裕氏が、ラーメン二郎についてこんな分析をしていた。