人生を前向きに楽しむ
「いいな」の口癖

 芝居の台詞で言えば、台詞と台詞の間にすべて(つまんねーな)が入るようなものです。

 お疲れさま、と乾杯したのはいいとして、その後は、つまんねーな、の大洪水になりました。

「今日も勤めは終わったけど、つまんねーな、きみもそうだろ、つまんなかったろ?会社の存在自体が(つまんねーな)なんだよ。だから、なんだ。つまんねーな。だいたい、今どき、大学の応援団のような朝礼をやる会社なんかないぜ。つまんねーな。明日も朝礼かよ。つまんねーな。大勢の前で売り上げ報告かよ。つまんねーな。こうして飲んでるけど、つまんねーな。きみもそうだろ」

 つまんねーなら誘うなよ、と僕は言ってやりたくなりましたが、それもつまんねーと、ひとり、もくもくと杯を傾け続けました。

 ほら、僕にも伝染しちゃった。今、つまんねーなと言ってしまいましたよ。

 つまんねーなは、うつりやすいつぶやきです。

 そいつは翌日の朝礼で最下位から2番目の売り上げを報告して、

「つまんねーことでした」

 と、言いました。

 そして、その月のうちに僕に、

「これ以上いてもつまんねーだけだから辞める。ほんと、つまんねー会社だった」

 と、言って辞めていきました。

 辞めていってよかったですよ。そいつの、つまんねーな、が僕の口癖になったかもしれないし、考えてみれば、つまんねー野郎でした。

 という僕もつまんねー人間でしたけどね。なんて今、思い出してひとりつぶやいたほど、つまんねえ時間でした。

 ちなみに、そのときの売り上げ最下位は僕でした。

 確かに人生の半分、いやそれ以上はつまらないかもしれません。

 でも、いいな、嬉しいな、幸せだな、と思えることも多いのですから、それでいいんだと思うことです。

 つまんねーな、を口癖にしていると、良いことがすぐそこに見えているのに気づかなくなっちゃうんですよ。だから、つまんねーな、になっちゃうんです。

(つまんねーな)よりも、もっと短く(いいな)を口癖にすればいいだけです。

 なんにでも、いいな、でいいと思います。

書影『生きる力 83歳車いすからのメッセージ』(エムディエヌコーポレーション)『生きる力 83歳車いすからのメッセージ』(エムディエヌコーポレーション)
志茂田景樹 著

 悪いことがたとえあったとしても、次は、(いいな)で締めくくれば気持ちの切り替えになります。

 ほんとに、いいな、になると思います。

 常に(いいな)を口癖にして生きていけば、やることなすことが(いいな)に近づいていくように思えてきます。だから、いいな、でいいなでしょうね。

 そして、本当のいいなが増えていけば、いいないいな、でいくことができるようになります。

 実際にいいなで成長しているのだと思い込みましょう。

 だから、「いいなと思うことが増えた」でいいんです。

 いいですか、いいなでいけば、いいなです。