暑苦しい日本の夏
体調を崩す「エアコン弱者」の苦悶
エアコン大手のダイキン工業が毎年のように行っている、暑さと睡眠に関するアンケート調査がある。結果は、夏場の夜にエアコンを使用しても暑くてなかなか寝つけないことが「ある」という人の割合が17.1%、「時々ある」という人が45.9%となり、合計で63%に及んだ。また『暑くて夜中に起きてしまうことが』「ある(14.2%)」、「時々ある(47.0%)」の合計で61.2%なっている。日本の夏はエアコンがあっても暑くて寝苦しいと実感している人が6割以上にものぼるのが実態だ。
また、ダイキンでは「冷房弱者」は54.9%と半数以上を占め、女性では 64.7%、男性でも 44.8%に及ぶと発表している。冷房弱者とは、冷房が効いた環境において体調不良などになった経験を持ち、冷房に苦手意識を持つ人と定義されている。
冷房が苦手な『冷房弱者』についてのアンケート調査では、夏場に冷房の効いた場所と効いていない場所の出入りを頻繁にすることが「ある」人では、冷房による体調不良の経験者が 38.8%に対し、出入りが「ない」人では冷房による体調不良は 15.9%と低くなっている。温度差が体にこたえるのだ。
そんな「冷房弱者」にとって、夏場の冷房が苦手な場所として最も多かったのは「スーパー(50.1%)」、次いで「公共交通機関(49.1%)」となり、公共の施設や商業施設が多かった。また、「自宅(21%)」は「オフィスビル(17.7%)」より比較的上位にあり、自宅といえども自分の思うとおりの冷房設定ができない状況があるようだ。パートナーや家族がいると、気遣いをして我慢する人も多いと推定されている。
実際、エアコンの設定で主導権を持つ人が、エアコン設定の際に温度設定などでパートナーの好みを考慮している割合は81.2%にのぼるが、エアコンの設定で揉めたり、喧嘩をしたりしたことがある人は55.0%にのぼる。ちなみに快適な温度は、夏場は室温25~28℃で湿度50~60%、冬場は室温18~25℃で湿度40~50%が最適とされているので、目安としてほしい。
そうした体調不良は、クーラー病(冷房病)と呼ばれたりする。クーラー病とは、冷房の使用によって頭痛や倦怠感、肩こりなど、体調を崩した状態を指す。
こうした体調不良に対する対処療法は、いろいろある。運動や入浴によって血液循環をよくする、冷たい飲み物は避けてできるだけ温かい物を飲む、羽織ものなどの服装調整をする、エアコンの設定温度調整や除湿機能の利用、扇風機やサーキュレーターの利用などで気流を調整するなどだ。