高気密・高断熱な家で、第一種全熱交換型換気を使いながら、エアコンを使えば室内の気温差・湿度差はほぼなくなる。部屋の隅や天井と床の差もムラなく空気質は整えられる。人は室温差が2度あると不快に感じるが、こうしたこともほぼなくなる。もちろん、夏の寝苦しさも冬のヒートショックもそんな家には皆無なのである。

 ちなみに、自宅がこの状態になっている家は日本に1%とない。それは行政を含めた住宅業界の怠慢であり、世界の非常識であることは間違いない。なので、その実現の方法を書いておこう。実現のポイントは、断熱・気密・換気・空調のバランスで、家の構造などでやり方は異なる。

快適な家は日本にほとんどない
今からやるべき夏を乗り切る準備

 戸建てなら、分譲と注文があるが、分譲なら住宅性能表示の断熱性能が5以上で全熱交換型第一種換気を採用している事業者を、注文では高気密・高断熱を「標準」にしている事業者を選ぼう。標準ではなく、オプションで「できますよ」という事業者の家は価格がかなり割高になり、性能にもバラつきが多く、信用できる代物ではない。

 分譲マンションなら原則気密性は高いので、新築は断熱等級6以上と、全熱交換型第一種換気を採用している部屋を選ぼう。同じマンションでも角住戸や最上階は断熱等級が低いので注意が必要だ。中古マンションなら、断熱の最大の敵となる窓の断熱リフォームをしよう。今なら、国の補助金(窓リノベ)で半額程度助成される。こ

 それに加えて、都道府県・政令指定都市・市区町村の補助金が併用で使えるケースが多い。東京都では国にプラスして33%、各市区町村も追加の補助金があり、100%を超えるケースもある。リフォーム会社選びは、(1)家に近いこと、(2)補助金に明るいことが条件になるので、「市区町村名 窓リノベ リフォーム会社」で検索してみよう。見つからなければ、スタイルアクトが運営する「住まいサーフィン」の会員には紹介もしている。

 今年の夏を快適に過ごすには、今のうちに対応しないと、また寝苦しい夜にいら立つことになってしまう。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖有人)