「目標を達成しなければ会社は生き残れない。生き残れなければ社員に給料を払うことができない。給料を払えなければ社員の生活は成り立たない。したがって目標達成というのは、社員の生活を守ることなんです」

 私の頭にはなかった衝撃の言葉でした。

 破綻を受けて、取引先との関係を終了せざるを得なく、一軒一軒お詫びの行脚に回ったことがありました。取引先にとって、JALとの契約終了は大変な事態だったと思います。その会社で働く社員や社員の家族の方々にもご迷惑をおかけすることを心苦しく感じ、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 稲盛さんの言葉で私は開眼しました。

 社員は会社の事業計画にしたがい、目標を達成しなければならない。目標達成によって社員の生活が守られ、取引先に属する人の生活も守られる。数字は旗印であり、クリアすることによって会社の成長と組織に関係する多くの人たちに幸せをもたらしてくれるのです。

 こういった目標達成の真の意味を理解せず、リーダーがチームに数字だけを突き付けて命令していたらどうなるでしょうか。メンバーはただ数字に追い立てられるため、目標達成に対してマイナスのイメージが拭えません。結果、プレッシャーを感じ、未達に終わるのは当然のことだと思います。

 なぜ目標を達成しなければならないのか。その真の意味を認識してチームで共有したら、成果は確実に違ってくるはずです。

成否を分けるリーダーの強い思い
他に封印すべきものは「他責思考」

 リーダーは目標達成に強い思いを持って臨まなければなりません。壁にぶち当たったとしても、「絶対にあきらめない。必ずやり遂げてみせる」といった信念が不可欠です。

 そのような強い思いを稲盛さん流に言い換えると、「燃える闘魂」「闘争心を燃やす」といった表現になります。稲盛さんはリーダーに必要な資質のひとつに挙げ、あらゆる困難を打ち破るものと語っています。リーダーの燃える闘魂、闘争心を燃やす言葉や行動、エネルギーがメンバーに広がり、チームをまとめて目標達成へと導くのです。