イランではイブラヒム・ライシ大統領の死によって指導部を取り巻く喫緊の課題が表面化する中、最高指導者アリ・ハメネイ師の息子のモジタバ師(54)が中心的な役割を演じようとしている。ほとんどのイラン人にとって、モジタバ師は謎の人物だ。公職には就いておらず、公に姿を見せることはまれで、演説もしない。イランの情報・治安機関の重要人物と数十年に及ぶつながりがあり、特にライシ師――個人的な権力基盤がない、言いなりになる大統領とみられていた――の下、世間の目の届かないところで影響力を強めてきた。ハメネイ師は現在85歳で、以前から健康問題を抱えており、ライシ師は後継候補と目されていた。大統領としてのライシ師は、より力のある個人やネットワークが陰から影響力を振るうための器だった。