「地頭格差」の幻想は
ChatGPTで破壊できる

尾原:TEDで7500万回以上再生されているのが、ケン・ロビンソンの「学校教育は創造性を殺してしまっている」という動画です。

 人間は本来、創造性や好奇心を持っています。あまり言いすぎると娘に怒られるけど、うちの娘も「大学はオシャレな都市に行きたい」と言ってがんばっていました。僕が志望校を灘中・灘高に決めた理由も、頭を坊主にしなくていい学校だったからです。だから、がんばったんです。

坪田:すごいですね。その理由でそこまで行ったのがすごいです(笑)。

尾原:一歩目を踏み出すことって、本当は日常の中に溢れています。でも学校教育だと、「これができないとダメ」という減点主義なので、その中で創造性や好奇心を殺されていると思うんですよね。

坪田:本当にそうです。

尾原:僕もずっと、「地頭がいいから」って言われているんですけど、『努力革命』で僕が強調したかったのは、「地頭って引き出しの多さでしょ?」ということです。それが僕の持論で、「引き出しを増やすのが楽しくなったら、それはむしろ娯楽だから努力じゃないじゃん」という話です。

 世の中では「ロジカル・シンキングができないとダメですよ」となっていますし、InstagramやTikTokが普及して、「センスがよくなきゃいけない」となっています。

 でも、ロジカル・シンキングは分解の引き出しがたくさんあればいいし、センスは試行錯誤している中で、周りが「いいね」をする加点主義ですよね。その中で、「いいね」と言ってもらえることを貯めればいいんです。

 それをChatGPTを使って、「自分の課題を分解してよ」と言えばいくらでも分解してくれるし、「この絵、ここの部分が気に食わないから他のパターンを出してよ」と言えば、いくらでも作ってくれます。「地頭格差」を勝手に作っているところは、破壊したいんですよね。