奉仕の精神や協調性、自信、自主性やチャレンジ精神は、すべて「新しい学力」です。「新しい学力」は、子どもの「行動」とそれに対する「周囲の反応」によって育ちます。

 この非常に繊細な営みを、子ども一人ひとりに寄り添い、計画的・選択的に行うことができるのは親しかいません。学校の教師も、塾の講師も、家庭教師も、ここまで繊細な行為を継続的に行うことはできないのです。

「新しい学力」を育てることに親子の時間を費やそう

「新しい学力」が身につくのは子どもの「行動」とそれに対する「周囲(親)の反応」がマッチしたときです。

 受験勉強をさせながら、子どもの得意・不得意を見つけてあげる、または子どもが何に向いているか、どんな力を伸ばしてあげればその子の良さを発揮できるかを見つけてあげる。これができる親御さんであれば、中学受験に反対するつもりはありません。

 しかしこの繊細な営みを、中学受験というハードなチャレンジと並行して行うのはかなり難しいと言わざるを得ません。中学受験が「新しい学力」を身につけるために欠かせない親のかかわりと真逆の行動に走ってしまう危険をはらんでいることを、私は危惧しています。

 それよりは、将来必要になる「新しい学力」を育てることに親子の時間を集中させたほうが効果的ではないでしょうか。

 このように考える理由は二つあります。まず一つは、「新しい学力」が身についてくれば、子どもは自ら勉強するようになるからです。親が意図的・計画的に子どもの自主性を育てられれば、子どもは自ら考えて行動するようになります。

 つまり、自分で大学受験というゴールを見すえ、自分の今の学力と残された時間を計算し、目標達成のための段取りを組む。これができるようになれば、自分で決断し計画したことなので、目標を達成する可能性もグンと高くなるのです。