「新しい学力」は親だけが育てることができる
子どもの教育を担う場所というと、学校や塾が思い浮かびます。しかし、結論からいうと、学校や塾では「新しい学力」を育てることはできません。なぜなら、学校や塾というシステム自体が、「新しい学力」の育成には向いていないからです。
では、「誰」が「どこ」で育てるのかと言えば、「親」が「家庭」で育てるのです。そもそも、自主性などは学力というより人間性に近いものです。
それがどうやって育まれるのかを理解するために、まず、子どもが『新しい学力』を身につけるのはどのようなときかを考えてみましょう。
ある日、お母さんに急用ができて帰宅時刻が遅くなったとします。そのとき、留守番を頼んでおいた子どもが夕食のご飯を炊いておいてくれました。
この場面には、子どもが「新しい学力」を身につける機会がたくさん含まれています。たとえばこの場面で、お母さんが「ありがとう。とても助かったわ」と子どもに感謝の気持ちを伝えたとします。
すると子どもは、家族としての役割を果たしたことを褒められ、認められたことにより、この体験を通して奉仕の精神や協調性を身につけていきます。
あるいは、「一人でできてすごいね!」と声をかけたとします。子どもは、炊飯の技能を褒められ、認められたことにより、家事の技能に対する自信を深めていきます。
また、「自分で考えて、ご飯を炊いておいてくれたんだね。助かったよ」と声をかけたとします。すると子どもは、自ら考えて行動したことを褒められ、認められたことにより、自主性やチャレンジ精神を身につけていくのです。