一流の世界では早ければ20代で、普通は30代~40代には私と同じ境遇を獲得している。

 一流の世界の住人がそれでも仕事をしているのはなぜか。

 それはお金のためではなく、自分の好きなことや使命を淡々と果たしているだけだからである。

 そもそも今まさに私がこうしてやっている執筆は、とても地味な作業だし、投資ビジネスのように大金を稼げるのは稀だし、華やかさの欠片もない。

 ひたすら好きなことであり、自分の使命だからやっているだけである。

 それでもお金はたくさん入ってくるから、好きなことや使命を果たすために使っているというわけだ。

 まさに正のスパイラルが延々と繰り返されている状態である。

保険は「掛け捨て」以外に
入ってはいけない理由

 あまりアピールをしたことはないが、私はもともと損害保険会社の出身だ。

 就活中にぜひ入りたいというわけでもなかったが、いくつか内定をもらった会社の中から消去法で選んだらそうなったというだけの話である。

 入社後にわかった仕事の実態についてありのままの本音を明かすと、想像を絶するほどに退屈だった。

 私と同じく総合職の同期には東大合格者を多数輩出することで知られる灘や開成の出身者もいたが、それほど優秀な頭脳が求められている理由が今でもわからないままだ。

 私にとっていくら将来のための仮の宿だったとは言え、常軌を逸するほどの退屈さには耐え切れなくなり、迷うことなく転職したというわけである。

 ところが因果応報が起こった。

 あれだけ嫌で逃げ回ったはずの保険の仕事を、何と転職先の経営コンサルティング会社でやる羽目になったのだ。

 きっかけは当時の私のチームにいたメンバーの一人が「保険業界向けのコンサルティングを立ち上げたい」と言って、損害保険会社出身の私がプロジェクトリーダーを務めることになったことである。

 これが想像以上に当たり、あれよあれよと保険業界の複数のメジャー紙に丸ごと1ページの独占長期連載を同時並行で執筆することになった。

 それが巡り巡って、かねて夢だった出版も実現し、私の第一作はこの保険業界向けのビジネス書となったわけである。