スマイルが下手な日本人
スマイルが上手なアメリカ人

 ちなみに、スマイルの重要性は米国在住時に学んだ。はっきり言って日本人はスマイルが少ないし下手だ。それに対して、アメリカ人はスマイルが上手だし、鶏が先か卵が先かはともかく、そのスマイルと、明るく前向きに人生をエンジョイする姿勢が併存していると思う。

 実際、病気になる前も、スマイルは、僕の人生にたくさんのハッピーをもたらしてくれた。笑顔でいれば周りの人に親しみを持ってもらえるし(少なくとも、笑顔を向けられて悪い気はしないと思う)、自分自身が楽しく、ポジティブな気分になれるからだ。

 冷たい言い方かもしれないが、「なぜ自分が」とか「もっと健康に留意しておけば」などと後悔しても、時間を巻き戻すことはできない。どうにもできないことを嘆き続けていても、仕方がない。それよりも今できることで、自分がちょっとでも明るく、楽しく生きられるように舵を切った方が絶対にいいと、僕は確信している。

“大きな声”の大切さは、僕が解説員としてレギュラー出演している『坂上&指原のつぶれない店』(TBS)でMCを務める坂上忍さんから学んだことだ。

 2017年に番組がスタートしたばかりの頃、僕は役人時代からの悪い癖で、さほど大きくない声でボソボソとしゃべっていた。胸元にマイクがついているから、問題ないだろうと思ったのだ。

 すると坂上さんに、「岸さん、もっと声を張って!」と一喝された。役人調にボソボソと解説すると、当然ながら聞きづらい。おまけに、話している内容がどんなにおもしろくても、それがイマイチ伝わらないし、スタジオの雰囲気も盛り上がらない。だから、坂上さんは収録中にもかかわらず、ズバリと指摘してくれたのだ。

 なるほど、教えられた通り声を張って話してみると、なんだか明るい気持ちになれ、自分に自信も持てる。スタジオの空気感を良くすることにも貢献できる。以来、テレビ出演はもちろん、講演会や大学院の授業、その他あらゆる場面で、大きな声で話すようにしているが、その効果は想像以上だ。

 こうした実体験から、まず気分から自分をハッピーにする最強の武器は“スマイル”と“大きな声”のセットだと、僕は確信している。騙されたと思って、みなさんにもぜひ実践してもらいたい。