オンライン決算で答える三菱ケミカルの筑本学社長オンライン決算で答える三菱ケミカルの筑本学社長 Photo by Ryuichi Kanayama

三菱ケミカルグループ、住友化学、三井化学の財閥系大手化学3社の2024年3月期決算が出そろった。三菱ケミカル、住友化学は、ともに25年3月期の業績改善の見通しを発表したものの株価は下落、3社のなかで売り上げ規模が最も小さい三井化学だけが5月15日の決算会見当日に年初来高値を更新し、明暗が分かれた。株式市場は三井化学の何を評価し、住友化学と三菱ケミカルの何を評価しなかったのか。鉄鋼産業に次いで二酸化炭素の排出が多い化学業界。3社の直面する課題を整理する。(ダイヤモンド編集部 金山隆一)

年初来高値を更新した三井化学
安値を更新した三菱ケミカル

 三菱ケミカルグループ、三井化学、住友化学の財閥系大手化学3社の2024年3月期決算が出そろった。医薬品子会社やサウジアラビアの石油化学事業の減損損失の計上で創業以来の赤字に陥った住友化学が25年3月期のV字回復シナリオを示したものの、株価反転の兆しが見えない。三菱ケミカルも来期にコア営業利益の増益見通しを示したが、決算発表当日の5月15日、年初来安値を更新した。

 一方、売り上げ規模では3社で最も小さい三井化学は、25年3月期のコア営業利益が前期比30%増の1250億円、純利益が同46%増の730億円とする計画を発表した。これを受け、同社の株価は同月15日に年初来高値を更新した。

 次ページでは、3社が業績に加え、株価でも明暗が分かれた理由を各社の収益構造などをもとに明らかにする。また、今後3社が解決しなければならない個別の課題に加え、全社に共通する負の遺産の存在についても解説していく。