「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.「やることリスト」を作るものの、終わらず翌日に持ち越してしまいます。
毎日仕事を始める前に「やることリスト」を作るものの、終わらず翌日に持ち越してしまいます。人から頼まれた仕事も、締め切りギリギリになったり、終わらなかったりすることが多く、効率が悪いのかと落ち込んでしまいます。
「やるかもしれないリスト」を作る
井上新八(以下、井上) ぼくは「やることリスト」は作りません。
ですが、仕事を始める前に「やることリストのようなもの」は作るようにしています。
これは、『とっぱらう』の「やるかもしれないリスト」とかなり似ているんです。
やるべきことを「選ぶこと」と、それを「実行すること」を分離するという方法だ。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
『とっぱらう』に載っている「やるかもしれないリスト」では、自分がやるべきことを全部挙げてから、その中からその日自分が取り組むものを選ぶという戦術です。
ぼくの場合は、「今日できたらいいな」程度の「実際にはできてもできなくても大丈夫」なものをリストに挙げるようにしています。
例えば、「ゲームをクリアする」「カラオケに行く」「1人飲みをする」など、プライベートの予定も含めて、かなり自由に書いていますね。
――「やることリスト」を作ってタスクを管理しているように見えても、「全部今日中に終わらせよう」とする姿勢は、逆に信頼を下げるのかもしれませんね。
確かに、「全部書いたはずなのに、終わらない」「頼まれごとも後回しになりがち」「締め切り直前になって焦り、バタバタする」…これが積み重なると、「この人に頼んで大丈夫なのかな?」って思う気がします。
「今日中に絶対やらなければならない」という固定観念をとっぱらう
井上 そうなんです。「やることリスト」って、ときに自分に過剰なプレッシャーを与えてしまうんです。
でも「やるかもしれないリスト」なら、達成できなかったときに「まあ、しょうがない」と自然に思える。その“ゆるさ”が結果的に、自分を無理のない範囲で動かすことにつながります。
ぼくの場合は、「やるかもしれない」リストに毎日だいたい10個前後は書くようにしてますね。
そして、前日に書いたリストを、翌朝に「できたかどうか」1回全部チェックするんです。
そうすると、できなかったものは「また今日やるかな」といった感じでその日のリストに付け足したりします。
ポイントは、「今日中に絶対終わらせなきゃ」という固定観念を手放すこと。
「全部やる」前提ではなく、“やるかもしれない”という余白を持ったタスク管理に切り替えてみるのもいいかもしれません。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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