【無料公開】金利復活で家計は預貯金利息増「6.1兆円」のプラス影響、恩恵は高所得・高齢層に偏在Photo:PIXTA

日銀が2024年から金融政策の正常化に踏み切ることで26年までに短期金利は2.75%、長期金利は3.5%程度まで上昇する可能性があります。人気連載『金利復活』から、みずほリサーチ&テクノロジーズ 主席エコノミスト 酒井才介氏の寄稿をもう一度、紹介します。

※2024年2月2日に公開した有料会員向け記事を、1カ月の期間限定で無料公開します。全ての内容は初出時のまま

4月にはマイナス金利解除?
24年は「金融正常化」が動き出す

「デフレ脱却」を掲げて10年余り続けられてきた異次元緩和が4月にも「正常化」に向けて動き出す見通しだ。消費者物価の上昇率は輸入物価のピークアウトで一時より鈍化したが、それでも日本銀行が掲げる2%物価目標を直近公表の昨年12月時点で21カ月連続上回っている。

「賃金と物価の好循環」の実現が政策変更のポイントとする日銀だが、今春闘も昨年を上回る高い賃上げ率になる可能性が高く、正常化に動き出す環境は整いつつある。

 日銀は今年初めての1月金融政策決定会合では政策変更を見送ったが、すでにイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の長期金利(10年国債利回り)は二度(昨年7月、10月)にわたる「運用柔軟化」で事実上撤廃され、4月決定会合ではマイナス金利解除に動く可能性が高い。

 短期金利はマイナス・長期金利はゼロという「金利のない世界」に住んでいた日本経済は久々に「金利のある世界」が到来することになる。

「金利復活」の影響は、家計と、負債が多い企業や輸出産業、政府では大きく異なるものになる。