会社からの家賃補助がある場合は賃貸のほうがいのでは?

ありがとうございます。あえて意地悪な質問をします。会社から家賃補助が出ていて格安で賃貸に住めている場合はどうでしょうか。賃貸のほうがいいのではないでしょうか。

江口:そのときだけ見ればそうでしょう。大企業を中心に家賃補助が手厚い会社は多いですから、月数万円でいい賃貸に住めてる人は多いのは理解しています。

 ただ、一点聞きたいのは、その補助は一生続くものでしょうか。仮に65歳まで家賃補助を受けたとして、そこから先はどうするのでしょうか。

 定年してから家を買う場合、退職金の多くは住宅に持っていかれてしまいますし、同じようなグレードの賃貸に住むとしたら補助がない分家賃は重くのしかかってきます。30年以上住み慣れてきた家のグレードをいきなり落として気持ちよく暮らせるという人は決して多くないでしょう。

 もし、定年したときも自分の資産として持ち家があれば、そのまま住むこともできますし、売って資金をつくることもできます。最近は高齢者1人では賃貸契約ができないことも増えてきており、幸せな賃貸暮らしを生涯続けるのは簡単なことではありません。

 仮に、定年時に初めて家を買うとしてもローンを組む場合は団体信用生命保険の条件が悪かったり、仕事によってはローン条件も悪くなります。現金一括で買えたとしても老後の資金はガクッと減ってしまいます。

 せっかく定年まで勤め上げたのにもかかわらず「家や生活のため」にそれまで以上に働きづづけなければいけないというのは、一体なんのための家なのでしょうか。

「いや、退職金とは別で住宅費用貯めておく」という考え方もありますが、それであれば、低金利である今のうちに住宅ローンを組んで購入したほうがようっぽど合理的です。

よくわかりました。つまり、「家を考える」ことは、「将来」のこともセットで考える必要があるということですね。

江口:まさしくその通りです。住居のことを考えるのは、「今後どう生きていきたいか」を考えるのと同義です。

「家族のため」「自分の老後のため」などなんでもいいですが、現在視点だけでは必ず後悔します。

 ですから、自分は将来どう生きていきたいのか、ライフプランを考慮しながら家を選んでいくことが大事です。

詳しく教えていただきありがとうございました。大変勉強になりました。