近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために『住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏のインタビューをお届けする。
今の状況だと、賃貸と持ち家どちらがいいの?
――「賃貸か持ち家か」、結局どちらがいいのでしょうか。
江口亮介(以下、江口):まず前提として「賃貸に住みたい人は賃貸にすればいい」「家を買いたい人は買えばいい」というのが私の考えです。賃貸派の人は無理に買う必要は当然ありません。加えて、経済状況的にすぐには難しいという人もいるでしょう。
この前提のうえで、「持ち家も気になっている...」という人向けに答えを出すならば「なるべく早く買う」が論理的には正解です。
――「今すぐ買う」ですか...。買うにしても、近年の不動産価格を考えると「待ってから買う」が正解なように感じるのですが。
江口:たしかに、最近の不動産価格は上がっています。「もうちょっと待ったほうがいいのでは?」と思いますよね。実際にそういった相談も増えています。
ただ、家がほしいならば、なるべく早く買うのがいいです。その理由は主に2つあります。1つめは「待つコスト」です。
「今は不動産価格が高いから待ったほうがいい」という人は、ほとんどの場合、目の前にある物件の価格だけしか考慮できていません。
それ自体は悪いことではないですが、待っているあいだの家賃はどうなのでしょうか。仮に夫婦2人で住んでいたとして家賃15万円だとしましょう。東京23区や大都市圏であれば、決してない金額ではありません。家を買うのを1年待った場合、そのあいだの家賃は180万円かかります。
その夫婦が5000万円の物件を購入検討していた場合、物件価格が1年で4820万円まで下がって初めてトントンということになります。値下がり率としては3.6%です。
「それくらいは下がるでしょ」と思うかもしれませんが、2000年以降の平均不動産価格をみると、1年間で3.6%以上価格が下落したのはリーマンショックだけです(リーマンショック…6.3%※2008年5月→2009年4月)。
東日本大震災でも1年での不動産下落率は0.9%に留まります(2011年1月→2012年2月)。
もちろん、個別で物件を見ていけば、局所的に下がっていることもあるかと思いますが、同等の期間で価格は戻っています。
つまり、家がほしいと思うならば「なるべく早く買う」が合理的な考え方です。