「持ち家には無駄なランニングコストがかかる」は本当か。
なるほど。よくわかりました。2つめの理由はなんでしょうか。
江口:2つめの理由は、「家賃の構造」です。賃貸は持ち家に比べて、「管理費や修繕費がなく、無駄なコストがかからない」と考えている人は多いですがそれは間違いです。
そうなんですか? たとえば、大規模マンションだと月2.5~3万円ほどは管理費や修繕費がかかり、ランニングコストがかさむように思うのですが。
江口:言いたいことはよくわかります。ただ、賃貸だからランニングコストがかかっていないなんてことはありません。
賃貸の場合、家賃のなかにそういったランニングコストが含まれているため、コストとして見えていないだけです。
加えて、そこにオーナーの利益も乗って賃貸価格として出されているわけですから、割高なのは間違いありません。
さらに、賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーは、住宅ローンとは違い「投資用のローン」を組んでいますが、投資用ローンは金利も高いです。そういった金額を皆さんがオーナーの代わりに払っているのです。
また、修繕費や管理費は物件の住み心地や価値を保つためにあるものです。そういったコストがあるからこそ、エレベーター点検や外壁の修繕、セキュリティ強化などができるわけで、「無駄」と切り捨ててしまうのはいい考え方ではありません。
よくわかりました。ただ1点気になるのが、おっしゃる理論だと賃貸と持ち家で同じ金額を払うならば、持ち家のほうが、オーナーの利益などがかからない分、住宅性能は上がるということなのでしょうか?
江口:そういうことです。皆さんが賃貸オーナーだったらどうでしょうか。「常に最新の設備を常に整えておきたい」と思うでしょうか。毎度設備を更新していたら投資用ローンなんてとてもじゃないですが返せません。
「基本的には住み続けてもらうための最低限の設備にしよう」と考えるのではないでしょうか。
実際、マンションであれば、月々の支払額は同じでも「分譲仕様」と「賃貸仕様」では大きく性能が異なります。ですから、資産面だけでなく、居住面だけ見ても持ち家のほうが生活グレードは必然的に上がるのです。