「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、自力整体の考案者であり、50年近く鍼灸師・整体治療家・ヨガ講師としても活動されてきた矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父様)をお迎えし、東洋医学の視点から、マリオネットライン・目の下のたるみ解消法をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
老け見えしてきたら、体の前側をほぐす
――前回に続き、たるみなど顔の老け見えを解消する自力整体を教えてください。
矢上裕:自力整体の生徒さんからも、口角からアゴにかけて線上のくぼみができる「マリオネットライン」や「目の下のたるみ」解消について、よく質問を受けます。
鍼灸の視点でお話すると、まず顔に様々な問題がおこるとき、我々は胃の経絡「胃経(いけい)」を使うんですね。「顔のトラブルは、胃経で治せ」と言われています。
むくみ、たるみ、しみ、しわなど、顔まわりの流れの悪さでおこる老け見えのほとんどは、「胃経」の詰まりが関係するからです。
「胃経」は鼻の横あたりからはじまり、ノドや胸、胃や腸、太ももの前側など体の前面を通って、足の人差し指へと続いています(※胃経の図は後半で紹介)。
自力整体の動きの多くは、この「胃経」の詰まりを解消していきます。
梅雨に出やすい「水毒(すいどく)」によるむくみ、冷え、めまい、関節痛などの治療も、この「胃経」を使います。
――矢上真理恵さんの書籍から、「胃経」の詰まりを解消するオススメワークをご紹介ください。
矢上真理恵:一番のオススメは、割座の状態から、うしろに倒れてあおむけになる、「あおむけの割座」のワークです。
太ももの前側と大腰筋(大腿骨と背骨をつなぐ筋肉)が気持ちよくのびて、詰まりがとれます。
このワークは、月経・妊娠中・産後・更年期に出やすい不調も和らげます。
太ももをのばすと腸の経絡も刺激されるため、便秘の解消にも役立ちますよ。
ワークは次のとおりです。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗