比べるのなら、過去の自分と比べましょう。時に苦しいことにも直面し、数多くの努力を重ね、様々な経験を積んだあなたは、以前に比べて、人間としての深みや輝きがぐんと増しているはずです。これまでの成長の軌跡をたどり、そういう自分自身を認め、いとおしみましょう。

 あなたはあなた。この世にたった一人しかいない、かけがえのない存在です。上手に話すことができなくても、高価なブランド品を持っていなくても、優秀な成績を修められなくてもいいのです。会いたい人に会い、行きたい場所に行き、食べたいものを食べる。自分のことを大切に、丁寧に扱いながら、あなた自身が心地良く満足できるように行動することが大切です。

「私は頑張っている」「自分なりに毎日楽しく生きている」。ありのままのあなたを肯定してあげることで、健全な自信が生まれ、イキイキと過ごすことができます。

真剣に叱ってくれる人は
あなたの人生の宝になる

「道が分からなくなったら、本氣で叱ってくれる人に会いに行こう」

 私は新卒でベアーズ(編集部注/家事代行サービス大手)に入社してきた社員たちに、この言葉を贈っています。

「怒る」と「叱る」とは違います。感情的に自分のイライラをぶつけるのが「怒る」。相手のためを想い、心から忠告したり注意をしたりするのが「叱る」です。

 人を叱るには、エネルギーが必要です。エネルギーを費やしてでも本気で向き合い、厳しい言葉をかけてくれる人は、あなたに深い愛情と情熱を注ごうとしているのです。親、教師、上司、友人……。誰であっても、あなたを真剣に叱ってくれる人は、人生の宝になります。

「自分はどうするべきだろう」「どういう選択が正しいのだろう」と道に迷うことがあったら、「この人は自分を本気で叱ってくれる」と想える人に会いに行きましょう。そういう人は、あなたのことを考えて、言いにくいことでも本当のことを指摘して、本質的なアドバイスをくれるはずです。

“パワハラ”という言葉が使われるようになってから、事なかれ主義がまん延し、相手を心から想った上で真剣に叱れる人が減りました。叱ってくれる人がいる人生は幸せです。