私は勇気を持ってベアーズを創業しました。家庭のお茶の間に幸せを運び、そこに暮らす家族を愛で包むことができたなら、本当にうれしいことです。あなたも勇気を出し、思い切って一歩を踏み出してみましょう。勇気を出すといっても、大それたことでなくて構いません。困っている人がいたら話しかけてみる。不安そうな人がいたら励ましてあげる。そんなささやかなことも、十分に勇気ある一歩になります。

 あなたの勇気は世界の誰かを愛で包むのです。ささやかな行動の積み重ねが、愛にあふれた社会を、世界をつくることにつながるのです。

焦らず急がず自分の
歩幅で進めばOK

 私が37歳の時、最愛の父が病気で亡くなりました。病床にあった父が、私に教えてくれたのが、こんな言葉です。

「どんなときにも、歩幅は自分で変えられる。しんどいときは歩幅を少し小さくして進むといいよ。ずっと頑張ることがいいわけではない。人生を楽しめる健やかな心と健康を保つことが重要だよ」

 前に進みながらも、歩幅は自分の調子で変えていい。ときには立ち止まる日があってもいい。無理せず、ありのままの自分でいい。そう知って以来、私は心身の変化に応じてうまく自分をコントロールすることを心がけるようになりました。

 人は「早くゴールにたどり着きたい」「100点満点を取りたい」と願い、必死になって頑張りがちです。ゴールや100点を求めているとき、先を行く人、もうできている人が目に入ると、できない自分に焦り、いらだちや情けなさすら感じてしまいます。

書影『ウェルビーイング・シンキング』(日経BP)『ウェルビーイング・シンキング』(日経BP)
高橋ゆき 著

「なんとか追いつきたい」と思うと、大股で、早足で歩こうとします。自分の心に焦点を合わせることなく、無理に大股や早足で歩くのですから、楽しむ余裕なんてありません。これでは到底、良いパフォーマンスは発揮できません。

「自分の歩幅でいい」「自分のペースで進めばいい」と意識してみましょう。

 今日の自分の歩幅やペースを理解し、周囲への感謝の気持ちを持ち、夢に向かって笑顔で歩んでいけば、自然とパフォーマンスも上がります。求められるお役目を果たすことができ、世の中を明るく幸せにできます。誰かと比べることなく、あなたらしく、一歩一歩、進んでいきましょう。