本物の長期投資家の資産が
いつの間にか増えてしまう理由

 価格が安いときに買った株式は、私たち長期投資家の大切な資産づくりのタネです。そのままずっと、好きな企業を応援しながら、株式を持ち続けましょう。

 そのうちに少しずつ経済状態がよくなったり、株式市場など投資環境が好転してくると、私たちの大切にしている企業の株価も上がってきます。

 すると、金儲けしか考えない投資家たちが、どこからともなく、再び株式市場に戻ってきます。それまで散々、売ってきた株の値段が上がっているのを見ると、「しまった、出遅れた!」と焦り、急いで買い始めるのです。

 その影響で、株価はますます上がります。それを見ると、買いそびれた投資家が「まだまだ値段が上がるに違いない」と強気になって買い始め、株価はさらに上がっていきます。

 さっきまで売っていた株を、今度は慌てて買い始めるという行動は、普通の生活者の感覚で見ると、とても不思議です。安く売ったものを、高くなってから買い直すのですから、まるで損をするために売買しているようです。

 でも、これが一般投資家の、ごく普通の行動パターンなのです。私たち長期投資家は、決してまねしてはいけませんね。

「儲けたい」「儲けたい」の一般投資家は高値になるとますます買いたがるので、手持ちの株式を少しずつ彼らに売ってあげるのはOKです。しばらくの間、大切な企業の応援を一般投資家におまかせして、長期投資家は投資の収益を受け取ります。

 みなさんは安く買っておいた株式を高い価格で売るのです。けっこうな金額の利益を受け取ることができるでしょう。

 このお金は、そのまま証券会社の口座に残して、大切にキープしておきます。次の投資の原資になるからです。そして次に株価が暴落し、応援企業の株価がグッと安くなったら、再び応援しようという気持ちで買いに行くのです。

 本物の長期投資家の行動は、この繰り返しです。経済や株式市場は、必ず好景気となったり不景気になったりの波がやってきます。それをのんびりと眺めながら、マイペースで株式の売買をしましょう。

 このやり方のよいところは、誰がやってもそこそこの成績が出る可能性が高いことです。自分が応援したい、大好きな企業の株をよいリズムで売り買いするだけ。これは誰にでもできるし、やらない理由はないのです。

 そして、その成果がすごいのです。

 コツコツと10年やって、資産が2倍になったら、年率7.2%の計算になります。これは、もう立派な成績です。この繰り返しを続けていると複利効果で、資産が雪だるまのように増えていってくれます。10年で2倍ですから、20年で2倍の2倍で4倍となります。30年では4倍の2倍で8倍です。

 これが複利の雪だるま効果というものです。将来に向けてお金の準備がしっかりと整うイメージが浮かびませんか?